2020.9.17 心理学講座 コミュニケーションが取れなくなってしまう理由
ある日突然、パートナーや友人とコミュニケーションがとれなくなる事って、皆さんには経験がありますか?
こちらから連絡をとっても返事が来なくなったり、相手が攻撃的になったり、無視してきたり、態度が変わったりとか、いろいろ感じる瞬間があると思います。
ではなぜ、このようなことが起こるのでしょう。
多くの人は、コミュニケーションがうまくいかなくなったとき、自分に何か問題や原因があったのではないかと思います。
確かにその可能性もあるのですが、実際にはコミュニケーションをとろうとしないのは相手の方ですから、この場合、相手側の心理を読みとかなければ、その原因を見つける事も対応する事もできないんですよね。
そこで、なぜ相手がコミュニケーションをとろうとしないのか、相手がコミュンケーションができない理由を私の今までの経験から、いくつかに分類してみました。
1 自分に問題があると思っている場合。
2 相手に問題があると思っている場合。
3 物理的、現実的に連絡が取れない場合。
4 精神的に連絡が取れない場合。
5 駆け引きの場合。
6 目的を達成するための行為。
7 上記の複合型
ざっくり仕分けすると、こんな感じになるのではないでしょうか。
もちろん私は学者ではなりませんし、あくまでも私の経験上ですから、この他にもまだ出てくるかもし瀬間戦士、間違いがあるかもしれません。
一カウンセラーの考察として気楽に読んでいただければと思います。
それでは、具体的な解説に入ります。
1 自分に問題があると思っている場合
例えば、もし皆さんが治療方法のないウイルスに感染したと思ってください。
そして、そのままだと周りにいる人にウイルスを感染させてしまうかもしれないと思ったとします。
そんなとき、皆さんはどう行動するでしょう。
愛する人や大切な人のそばにいようと思うでしょうか?
一般的には、大切な人を守りたいという意識を持ちますから、自分を周りのみんなから隔離する事で、周りの人を守ろうとするかもしれませんね。
これがウイルスのような特殊な事ではなく、人を傷つけてしまうそうなくらい強烈な怒りを持ってしまった場合、そばに人がいるとその人を傷つけてしまうかもしれないと思ったら、皆さんはどう行動するでしょう。
おそらく、「相手を傷つけたくない」と思った分だけ相手から離れようとするかもしれません。
別の例として、ドラマなどでよくありますが、自分が余命幾ばくもない、このままだと大切な人に悲しい思いをさせてしまうかもしれないと思ったときはどうでしょう?
ドラマなどでは、相手を悲しませないために、相手から離れようとするというのはよくありますよね。
相手に嫌な思いをさせたくない、迷惑をかけたくないなど、自分で問題を抱え込んで相手を守ろうとするとき、問題を抱え込む事に集中し、決して問題を外に出そうとしなくなりますから、コミュニケーションはとれなくなってしまいます。
やっている本人としては、「よかれと思って」やっている事なんですよね。
結果として相手にとってプラスにはならないわけですが、悲しい思いをさせるよりまし、自分といてつらい思いをするよりまし、迷惑をかけるよりましという結論に達している可能性が高いわけです。
この他にも、人は何かに熱中してしまうと、他の事がおろそかになってしまうという事は皆さんにも経験があると思います。
ゲームに熱中して、親や恋人に呼ばれている事に気がつかなかったり、自分がやるべき事を忘れてしまったり、そんなことはよくある事なんですよね。
集中しているとき、人は二つ同時の事をするのは難しいんですよね。
料理をしながら洗濯をする。
「ながら」であればそれは可能かもしれませんが、料理に集中しているときに洗濯もするとなると、これはなかなか大変です。
問題を抱え込む事に集中してしまうと、それ以外の事、コミュニケーションも含めておろそかになってしまうというのは多分に起こりえるであろうという事ですね。
2 相手に問題があると思っている場合
これは先ほどの「自分に問題があると思っている場合」とは逆で、問題を抱え込むのではなくて、問題を周りに丸投げしてしまうんですよね。
自分の問題ですら「周りのせいだ」という事にして、問題のすべてを放棄してしまう。
カウンセリングで相談を受けるのはこのケースが非常に多く見受けられます。
自分が今苦しいのは恋人のせいだ、親のせいだ、職場の上司のせいだ、お金がないからだ、周りがわかってくれないからだ、病気のせいだなど、その内容は多岐にわたります。
誰かのせいにする事自体が悪いわけではありません。
誰かのせいにしたくなるくらい、精神的には追いつめられているわけですし、誰だって誰かのせいにしたくなるときはあります。
問題になるのは、「誰かのせい」にして本来自分自身で向き合わなければいけないことから逃げ続けてしまう事なんです。
つまり「~し続けてしまう」事に問題があるわけです。
誰かのせいにするためには、絶えず「誰か」「何か」の理由が必要になります。
そうすると、結果として理由探しばかりをしてしまいます。
ここでコミュニケーションをとるとどうなるかというと、この「理由」が理由にならない事ができなくなり、結果として「誰かのせい」にできなくなってしまうんですよね。
だとすると、誰かのせいにし続けるためには、コミュニケーションがない方が継続しやすくなりますから、自然とコミュニケーションをとらなくなるわけです。
離婚問題などで「相手が話し合いに応じてくれない」時などは、すべてではないにしても、このような心理が働いている可能性がある事を考慮する必要があるかもしれませんね。
3 物理的、現実的に連絡が取れない場合。
いくらメールをしても相手から返信が帰ってこない。
本人に会いたくても、連絡も取れなければ居所もわからない。
人生生きていれば、こんな経験をすることもあります。
物理的に連絡が取れないということは、相手に連絡を取る方法を自分が知らないということもありますし、連絡方法を知っていたとしても、相手が何も反応しない時もあります。
ここでちょっと考えてみてください。
もし自分が物理的に相手に連絡を取らない、もしくは取れない時って、どういうときなのでしょう。
私自身で考えてみますと、
手元に連絡手段がない。
連絡が来ていることに気が付かない。
連絡を取る気がしない。
連絡を取りたくない。
どう返信していいかわからない。
等々、いろいろ考えられるわけです。
例えば突然おなかが痛くなり、急に入院することになったりすると、連絡は取りにくくなります。
また、今では一般的になった携帯電話を紛失した、壊してしまったなど、すぐに自分ではどうしようもない事態になった場合などもありますよね。
これとは別に、相手から連絡が来た時に返信しようと思っても、返信するタイミングを失ってしまったら、皆さんは返信できるでしょうか?
相手の反応に返すというのは、実はタイミングが意外と大切だったりします。
このタイミングを逸してしまうと、返信するのも相手に悪いかも、なんて思ってしまったりして、結局返信できなくなったりします。
先日、名古屋の友人が私にメールを出そうとして、書いては消し、書いては消しを繰り返し、出すタイミングを逸してしまって、結局直接口頭でメールの内容を伝えられたというのがありました。
タイミングは逃さないようにしたいものですよね。
もちろんこれ以外にも、何らかの理由で外部と連絡を取りたくない場合などは、返信はしてこないでしょう。
この場合はこちらがどれだけ連絡を取ろうと思っても、相手が受け入れる状態にありませんから、コミュニケーションが成立しないわけです。
また、人によっては周りに迷惑をかけたくないから連絡を絶つ、という人もいました。
物理的に連絡がない場合、こちらがあれこれ詮索しても答えはわからないものです。
「果報は寝て待て」くらいの気持ちで待ってあげることも大切かもしれませんね。
4 精神的に連絡が取れない場合。
先ほどの3、とほぼ同じ内容ですが、こちらは精神的に連絡が取れない場合です。
気力がない、書けない、どう書いていいかわからないなど、物理的に出せないというより、相手の心理状態が返信できる状態にないことが考えられるわけです。
例えば一方的に絶交宣言をして、連絡を絶ってしまう場合などは、精神的に連絡を取らない場合と言っていいでしょう。
3、と4、のポイントとしては、結果として連絡が取れないケースと、意図的に連絡を取らないケースとがあるということです。
ただ、どちらも結果として「反応がない」状態になりますから、相手が受けるダメージはかなり大きくなることがよくあります。
「彼から連絡がなくて不安で不安で」
これはすでにダメージを受けている、ということですね。
5 駆け引きの場合。
人は心に思惑を持っている場合が少なくありません。
少しでも自分の立場をよくしようと、あれこれ画策することなどよくあることです。
そのなかで、あえてコミュニケーションをとらないことで、心理的に相手を追い込んで自分を有利な立場にしようとする方法があるわけです。
例えば、突然彼からコミュニケーションが途絶えたら、誰だって不安になったりしますよね。
そして、自分に何か悪いところがあったのではないかと思います。
この段階でコミュニケーションを取らなくなった彼のほうが心理的に優位に立つわけです。
そして、おもむろにコミュニケーションを取り出したと思ったら、自分の欲求や要求を遠慮なくぶつけてくるわけです。
実は人って、「無反応」に弱いんですよね。
反応されないと一番へこみますし、不安にもなるわけです。
なので、どのような形であれ反応が返ってくると、無反応よりましですから、結果として相手の欲求、要求に従いやすくなるわけです。
もちろん相手はここまで考えて行動しているわけではありません。
これも無意識でやっている行為なんですよねぇ。
6 目的を達成するための行為。
これは5.と内容が重複していますが、最大の違いは5.が対個人に対して駆け引きを行うためであり、6.は自分の目的を達成するための行為です。
ポイントは、コミュニケーションをとらないことでこちらの意図を相手に悟らせたり気づかれたりすることを防ぐためで、秘密裏に何か事を起こす時などが当てはまるでしょう。
映画やドラマなどでは、脱走を企てるとか、悪いやつをだますとか、身近なところではサプライズで誕生日を祝う準備をするとか、相手に気づかれないようにしようとしたら、コミュニケーションをしないほうが計画は進めやすくなりますからね。
されたほうは「何かあったのか?」と不安になり、誤解を受けやすくなりますから、このやり方をする場合はくれぐれもご注意くださいね。
7 1~6の複合型
実際にコミュニケーションが取れなくなった時、そのほとんどが今までの1~6のどれかではなく、複合型であることがほとんどです。
例えば、相手に問題があると思い込んで、「お前に問題がある」と一方的に要求を突きつけることで、心理的に優位に立つ。
または、自分に問題があると思い、自己攻撃が激しくなり精神的に疲れてしまい、連絡すらできなくなってしまう。
また、ちょっとしたことでメールの返信が遅れてしまい、返事をするタイミングを逃してしまって、そのまま返信できずにほったらかしにしてしまい、結局そのまま連絡しなくなった結果、相手を不安にさせてしまうということもあるでしょう。
日常的にはこのような経験は皆さんもされたことがあるのではないかと思います。
次回につづきます。