2020.9.16 心理学講座「話し手と聞き手の心理学」2

2「解釈の違い」

今回は聞き手の問題点についてお話ししたいと思います。

前回もお話ししたと思いますが、話し手が伝えたいことを伝えるために、様々なコミュ

ニケーションを表現します。

しかし、聞き手がその表現をどう解釈するのか、それは聞き手の能力にかかっています。

人は誰しもが、自分が理解できる形で情報を整理します。

結果、それが必ずしも話し手の伝えたいことと一致はしないわけです。

皆さんは伝言ゲームというのをやったことがありますでしょうか?

やったことのない人のために説明すると、例えば6人のチームがあったとします。

出題者はAさんに問題を出します。

そして、AさんはBさんに、BさんはCさんにと、伝える内容を伝言していきます。

最後のFさんが聞いた後、出題された問題とFさんの答えがどれだけあっているか答え合

わせをします。

伝言の仕方はいろいろあります。

言葉だったり、ジェスチャーだったり、絵だったり、いろんな表現を使うのがこのゲー

ムのポイントでもあります。

結果AさんとFさんの答えが違えば違うほど、ゲームとしては面白くなるわけですが、日

常生活においてはどうなんでしょう。

例えばAさんとFさんが直接伝言をしたとしても、必ずしもAさんとFさんの答えが一致す

るとは限らないんですよね。

たとえばそれが「生卵を1パック買ってきてください」など、他に解釈しようのない内

容であれば正確に伝わる可能性が高いでしょう。

でも、たとえばそれが「すしを買ってきてください」とあれば、それが握りずしなのか

いなりずしなのか、ちらしずしなのかは伝えられた伝言の中には含まれていないわけで

す。

聞き手は、自分の中にある「すし」を選ぶことになり、話し手の「すし」を選ぶとは限

らないわけです。

また、どれだけ正しく話し手が伝えたとしても、聞き手の解釈で全く違う意味になって

しまうこともよくあるわけです。

たとえば奥さんがひとこと「今月は家計が赤字だ」といったとします。

この場合、奥さんは「今月は家計が赤字である」という事実を伝えているにすぎないわ

けです。

しかし、これを聞いた夫が「今月赤字なのは稼ぎが悪い私に原因があり、そのことを指

摘されている」と解釈してしまったらどうなるでしょう。

まあ大概の夫が怒りだしたり、不機嫌になったりするでしょうね。

いった本人はそんなつもりで言ってはいないわけですから、なんで怒っているのか、な

んで不機嫌になったのかがわからなくなってしまい、言われるがままになる、というの

はよくあることですよね。

このように、聞き手の最大の問題としては、話し手の言葉をどのように解釈したのかが

重要で、話し手はいかに聞き手に間違った解釈をされないように表現を工夫するのかを

求められてしまうわけです。

でも、どれだけやっても間違った解釈はされてしまうものです。

正確にいうならば、間違った解釈をされないように努力するより、間違った解釈をする

可能性があるという前提で、最初から表現を考えたほうがいいかもしれませんね。

この間違った解釈、一般的にはこれを「誤解」といいますが、聞き手は自分が誤解しな

いように心掛ける配慮は必要かもしれませんね。

誤解してしまったときは、誤解を解けばいいわけですが、そもそも誤解をしていると気

が付かなければ、誤解を解くこともできないですからね。

コミュニケーションに問題が生じたときは、自分が何か誤解をしていないか、解釈を誤

っていないか、怒る前に確認してみるのがいいでしょうね。

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