2021.5.26 ありがとう、さようなら 〜笑顔でお別れ〜

今から15年ほど前のお話になります。

私の父の兄に当たる伯父が危篤という連絡を受けました。

去年病気が見つかって以来、ずっと闘病生活をしていましたが、父の話
では「もう長くないだろう」とのことでした。

伯父は見た目はすごく頑固そうに見えるのですが、もともと職人なので
人の面倒見がよく、すごく家族や仲間を大切にする人でした。

伯父とのエピソードで私が覚えているのは、阪神大震災の3日後のこと
ですが、伯父と父の弟の2人で、大阪から10数時間かけて車で神戸ま
で来てくれて、おにぎり、カップ麺、水、お菓子、唐揚げなどのおか
ず、自転車2台を持ってきてくれたんです。

普通なら大阪から神戸まで、よほど混んでなければ1〜2時間もあれば
移動できます。
混んでいても、4時間くらいでしょう。
しかし、さすがに震災の時はそういうわけにもいかず、ずいぶん大変
だったのをききました。
伯父は「途中で車を乗り捨ててでも来ようと思った」と父と話しながら
笑っていました。

その時に伯父が持ってきてくれた唐揚げは、震災のあと初めて食べた肉
類だったので、今でもよくその時のことを覚えています。
あの味は一生忘れません。

その後、私が結婚するときは、形だけでしたが仲人を引き受けていただ
いたり、何かとお世話になりました。

もともとシンプルな結婚をしようと妻といろいろ相談していたのです
が、とにかく父がすごく張り切ってしまって、「仲人は立てろ!大阪の
おっちゃん(伯父)に頼んであるから!」
頼んであるからって言われたら、断るわけにもいきません。
そのままお願いすることになったのですが、実際式場(神社)でお会い
したときは、心から喜んでいただき、とてもありがたかったのを覚えて
います。

しかし、私が伯父の話を聞いたとき、ふとあることを考えました。

もし、自分が死の間際になったとき、みんなはどんな顔をしているんだ
ろうかなって。

おそらく、私の家族や友人は悲しい顔をしてくれるでしょう。
実際、私自身家族や友人を失ったとき、悲しかったですから。

でも、その時ふと思ったんです。

自分はみんなの悲しい顔を見ながら死にたいだろうか?

答えは「ノー」でした。

できることならば、最後にみる家族や友人の顔は、どんな状態であった
としても笑顔を見たいと思ったんです。
その笑顔を見ることができたとき、もしかしたらこう思えるかもしれま
せん。
「ああ、自分はやりとげた。」
それが何かは私にもわかりません。
ただ、その言葉がふと頭をよぎりました。

実際その状態になってみたら、誰よりも泣いているかもしれません。
家族や友人、妻を失ったとき、誰よりも落ち込むかもしれません。

それでも、私が大切にしてきた人たちに私が最後に見せてあげる顔は、
できれば笑顔でありたい。
そう思いました。

同じように
みんなは私の悲しい顔を見ながら死にたいだろうか?
と思ったときも「ノー」でした。

みんなには、私の「笑顔」をみて欲しい。
そして、私の笑顔を見て、安心してお別れを言いたいと思います。

できるかどうかわかりません。
できないかもしれません。

それでも、笑顔で「ありがとう、さようなら」って言えたら、自己満足
かもしれませんが、それは最高の贈り物になるのではないかと感じま
す。

仕事の都合などで、もしかしたらお葬式に出席できるかどうかもわかりませんが、もし伯父に会えたときは、笑顔であってみようと思います。
周りには不謹慎に移るかもしれません。
でも、私は伯父に笑顔を見せたい。
「伯父さん、今までありがとう。さようなら。」

たくさんの感謝の気持ちを、伝えたいと思います。

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