2021.1.21 心理学講座 こころの防災グッズ
昔、クライアントさんと話をしていて、こんな話になりました。
子供の将来が心配で、ついつい子供に厳しくあたったり、あれこれとかまいたくなる。
まあ、親の立場としては当然のことですね。
人生経験を積んでいる分だけ、これは危険だ、これはしてはいけない、そういうことをすると周りに迷惑をかける、周りから嫌われる。
いろんなことを考えてしまうわけです。
私はこの時、クライアントさんに言いました。
親の子供を心配する気持ちって、ちょっと防災グッズや防災意識に似ているなと。
防災グッズは、普段は必要のないものです。
あっても邪魔だったりすることもあります。
しかし、ひとたび災害が起こると、とても重要な役割を持っているわけです。
私自身、親の立場って、防災グッズや防災意識に似ているのかな、と感じます。
実際地震が起きなければ、いくら地震の怖さを話しても、ピンとこないわけです。
ですが、ひとたび地震に遭遇したら、言われていたことが理解できる。
子供に接するとき、特に思春期までの子供などは、自分がそういう目に合わなければ、親の言っていることが理解できなかったりします。
そんなことをしたら、迷惑がかかる。
そういわれても、子供には迷惑という概念がわからなかったりするわけです。
ですが、それを大人の考え方で子供にいくら話しても、まあなかなか通じないわけですよ。
それならば、親の立場としてはどうすればいいか。
大切なことは、子供に何かが起きたときに、子供がちゃんと相談してくれる親であることだと感じるわけです。
もちろん、どうしても親に言えないこともあったりします。
そんなときは、先輩なり、師匠なり、先生なり、友達なり、信頼できる誰かがいることが必要なんです。
子供から、大切なことをちゃんと相談される大人になること。
この立ち位置が、防災グッズなわけです。
誰かに相談しなければいけない、というのは、子供にとっての非常事態ですからね。
そのときに「こころの防災グッズ」として役に立つことが、親の役割の一つではないかな、と感じます。
それはおそらく、親子の関係だけではなく、夫婦や友人、上司や部下、恋人など、いろんな関係性でも同じなのではないかなと。
私は立場上、相談されることが多いわけですが、やっぱりまず相談してきてくれたことに感謝します。
私自身が、皆さんの防災グッズなわけですね(笑)
相談する相手って、相手から信頼されないといけませんからね。
子供から信頼される親になるって、実は大変なことかもしれません。
そんな大変なことを、毎日チャレンジしているお父さん、お母さん方を私はすごいと思います。
世のお父さん、お母さん。
親として肩に力を入れずに、しっかりと子どもを見守ってあげてくださいね。