自殺リスクを減らすには
ネットの記事で
精神科医・内田直樹の往診カルテ「どう対応? 自殺リスク高い在宅患者」
2018年11月1日
というのがありました。
その中で、10項目で自殺リスクを判断するというのがあったんです。
で、この10項目を挙げてみますと、下記になります。
Sex(性別。男性の方が自殺するリスクが高い)
Age(年齢。20歳未満と45歳以上は自殺を図るリスクが高い)
Depression(うつ病)
Previous attempt(自殺を図った経験。危険因子の中で最も重要)
Ethanol abuse(アルコール、薬物の乱用)
Rational thinking loss(妄想、理性的な思考の欠如)
Social support deficit(社会的援助が得られていない)
Organized plan(自殺に関する緻密な計画)
No spouse(配偶者がいない)
Sickness(身体疾患)
この10項目を見てみますと、精神的、社会的に孤立していることが自殺リスクが高くなる要因だというのがよくわかりますよね。
男性の場合、誰かに相談するということはあまりしませんので、一人で抱え込みがちになるわけです。
年齢的には、若年層は精神的に、45歳以上は社会的に不安を抱え込みやすく、そしてどちらも様々なしがらみ、例えば責任とか失敗してはいけないとか、そういった観念に縛られてしまいがちになります。
うつ病の場合、重度になると、死ぬ気力さえ失いますから、重度になる手前と、直り始めたころが一番リスクが高いといえるかもしれません。
アルコールや薬物の依存症や、思考の欠如などは、現実からの逃避、という考え方もありますが、それ以上に、そういったものにしか頼れない現状があるということを示唆しています。
社会的援助が得られていないとか、独り身であるとかは、先ほどお話しした孤立した状態であると同時に、生きるという意思を支える何かが存在しない状態に陥ってしまうわけです。
極端になると、自分の存在自体に疑問を持ち、その存在自体を消したいと思うわけです。
自殺計画を立てるということは、すでに未来の選択肢の中に「死」がありますので、あとは選択すれば終わり、というところまで来ていることを示しています。
身体疾患、これは、今までのようにできない自分に絶望します。
同時に、心のどこかで身体疾患があること=誰かに迷惑をかける存在と考えたり、身体疾患のある人を見下している人などは、自分が見下される存在になると感じたりするケースもあります。
で、自殺リスクが高い人に対しての対応策は、以下の4つと書かれています。
Tell(伝える)
Ask(尋ねる)
Listen(聴く)
Keep safe(安全を確保する)
基本はカウンセリングでしていることと同じ。
何より、心でも現実でも、孤立化させないことが重要と私は感じます。
コミュニケーションが減少した。
これ自体が、すでに兆候の場合もありますからね。
だからといって、しつこすぎるとそれはそれで敬遠されてしまいますから、自分自身をいつでも「頼っていい存在」として、相手に認識してもらうことが重要なわけです。
相談する相手がいる。
相談をしてくる存在がある。
話しかけられる人がいる。
話しかけられる自分がいる。
これが、心や現実の孤立化を防ぐには、一番の処方箋かもしれませんね。