「わからない」心理
よくカウンセリングなどで「わからない」と答える方がいます。
このお話は以前心理学講座でもお話したことがありますが、今回その手のお話をする機会がありましたので、もう一度取り上げてみようと思います。
「わからない」という言葉。
この言葉には、大きく四つの意味に分かれていると私は感じます。
一つは、理解できないという意味。
二つ目は、何がわからないか理解できているとき。
三つ目は、わかりたくないとき。
四つ目は、しらないとき。
一つ目は、相手の言っていることが理解できなければ答えられないですから、わからないとなるわけです。
これは、二つ目と同じで、何がわからないかは理解できているわけです。
言っていることが理解できない、ことはわかっていますからね。
二つ目は、自分が何がわからないかを理解できているときなわけです。
たとえば、
It is chilly today.
と言われて、chillyの意味が分からない時、この文章の意味全体が「わからない」となるわけです。
Chillyの意味が分かれば、文章全体の意味が理解できるかもしれないわけですから、自分がわからない場所が明確にわかるわけですよね。
何がわからないか、自分自身がわかっているわけです。
三つ目は、カウンセリングでよく出てくる「抵抗」の一種ですね。
もしわかってしまったり、理解できてしまったら、都合が悪かったり向き合わなければいけなくなったりするわけです。
また、わかってしまうと、わからなかった自分に戻ることができませんので、変化が起きてしまいます。
変化したくない場合、「わからない」ことにすることで、こころは現状を維持することができますからね。
四つ目は、理解する以前の問題です。
知らないことは答えられないですからね。
で、今回ポイントになるのは、3つ目と4つ目の複合型。
知らないことは答えられないですから、当然質問しても応えは返るってこないわけです。
そして、知らない場合は、知るためにまず相手の話を聞き、受け入れることを優先するわけです。
だって、教わるわけですからね。
ですが、知らないから説明しているにもかかわらず、やりたくないとか、嫌だとか、そういう態度が出てきた場合、これは3つ目の可能性が高くなります。
皆さんは、学校の先生が教えてくれる内容に反抗したりしますか?
水の化学式がH2Oと教えてくれる先生の話に、当然耳を傾けますよね。
ま、勉強や先生が嫌いなときは、当然聞きませんけどね(笑)
つまり、知らない人は、相手の話をまず真摯に聞くわけです。
それができない場合、知りたくない、わかりたくないという「抵抗」の可能性が考えられるわけです。
もちろん、相手に対して嫌悪感があったりとか、怒っていたりとか、感情が絡んでいるときは、上記の四つに関係なくそういう態度をとることもありますよね。
わからない
という言葉は、非常に便利な言葉なわけですが、その言葉の意味するところを言っている本人ですら把握できていないことがほとんどですから、言葉を言葉通りに解釈しないことが必要かもしれませんね。