2020.9.24 心理学講座 「コミュニケーションがうまくいかなくなったときのチェックポイント」6
第3章「コミュニケーションを邪魔する感情」
さて、皆さんはコミュニケーションを邪魔する感情にどのようなものがあると思われますか?
細かくわければたくさんあるのかもしれませんが、実際には大きく3つあると私は考えています。
それは
「怒り」
「恐れ」
「恥ずかしさ」
です。
これらの感情は誰もが持っている感情ですし、この感情があること自体には問題はないんですよね。
問題になるのは、これらの感情があることに気がつかず、結果感情に振り回されてしまう時です。
怒りがあるときは他者に対して攻撃性が増しますし、恐れがあるときは萎縮したり、防衛したりします。
恥ずかしさがあるときは、意識が自分のほうばかりを向いてしまって、相手に対して意識が向かなくなってしまいます。
コミュニケーションをとっている最中にこれらの感情に気がつけば、感情に振り回されることはあまりないのですが、実際には気がつかないことのほうが多いんですよね。
実をいうと、これらの感情は本人よりも周りのほうが気がつくことが多いんですよ。
なぜなら、怒りや恐れ、恥ずかしさの感情はまず視覚情報からわかることのほうが多いからです。
顔は怒っているんだけれども、「怒ってます?」と聞いても多くの人は「別に、怒ってませんよ」と返ってきます。
しかし、顔が怒り顔であれば誰だって「この人、怒っているんだ」と思いますよね。
これが、本人が自覚していないケースです。
ではなぜ、これらの感情は本人が気がつきにくいのでしょうか?
理由は「ごまかす」からなんです。
恥ずかしさを例にすると、恥ずかしいとき人は「恥ずかしい」と他人に気付かれたくないから「恥ずかしくないふり」をするんですよね。
小学生のころ、「おまえ、○○ちゃんのことが好きなんやろ!」とからかったりすると、本当は好きだったとしても「違うわい!好きなんかとちゃうわ!」と言ってしまい、気まずくなってしまうというのは漫画やドラマでもよくありますよね。
これは「恥ずかしい」という感情をごまかそうとしている行動で、怒りや恐れにも似たような行動が見受けられます。
まあ、もっと簡単に言えば、自分が恥ずかしいとか、怖いとか、怒っているとか、これらの感情があることを「認めたくない」からごまかそうとしているのではないかと私は感じます。
認めてしまえばさほど問題ではないのですが、なかなか認めたがらないのが人というものかもしれません。
これらの感情にコミュニケーションを邪魔されないコツは「素直になる」ということですね。
レッスンとしてはまず「受け入れてみる」ことです。
人が言うことを「否定」から考えずに「肯定」から考えてみればいいわけです。
ただし、普段から「私が悪いのかしら」と感じてしまうネガティブな事柄に関しては、否定も肯定もしないでくださいね。
コミュニケーションは特別なものではないけれども、当たり前のものでもありません。
自分には自分のコミュニケーションの方法があるように、人には人のコミュニケーションの方法があります。
しゃべるのが得意な人がいれば、スマホで文字を書くのが得意な人もいるわけです。
しかし、自分の特性をよく知らなければ、自分のコミュニケーション能力を生かすことができないわけですから、自分を理解することは重要になってきます。
同時に、相手の特性を理解しないといけません。相手に伝わらない方法で伝え続けても、理解されないなんて事になりかねませんからね。
孫子の兵法にこのような記述があります。
彼(てき)を知り、己を知れば百戦危うからず
自分を良く理解し、相手を良く理解すればまず負けはしないという意味ですが、コミュニケーションの極意でもあると私は信じています。
コミュニケーションがうまくいかないときは、相手を、そしてなによりも自分を理解するチャンスがやってきた、そう思ってみてくださいね。
最後までおつきあいいただいて、ありがとうございました。