2020.8.20 心理学講座「うそという名の箱~うそつきの心理学~⑤

第三章 「嘘の中に隠れているもの」

今までにも書いたことなのですが、

うそをつくにはつくなりの「理由」が存在しています。

それは、しかられるのが怖くてうそをついてしまったり、

嘘がばれるのが怖くて嘘を重ねてしまう場合もあるでしょう。

さらに、うそをついているつもりはないのに、

結果として嘘になってしまう、

というお話もしたと思います。

実は、うそをつく本当の理由は、「

何かを隠している」ということなんです。

うそをつくということは、当然「真実」が

隠れているわけですから、

その真実を隠すためには、

「うそ」は非常に有効な手段といえるわけです。

たとえば、すごく下品な例ですが、

数人が集まっているところでおならをしてしまったとします。

運良く音もなくでて、

しかも全員が一斉に臭いと言い出しました。

まあこの状態で「おならをしたのは私です」と

名乗る勇気のある人は、

普段からあまりうそをつかない人なのでしょうけれど、

ほとんどの方が、

できれば気付かれたくありませんから、

最後まで自分がやったと名乗りでないことの方が

多いかもしれません。

結果うやむやになるか、誰かにぬれぎぬを

着せることができれば、ほっとすることでしょう。

さて、このシチュエーションでは、

なにを隠すことができたのでしょう?

答えは「恥ずかしさ」という感情ですよね。

日本人は古来から「恥ずかしい」ことには

敏感な性格なんですよね。

はずかしめを受けるくらいなら、

死んだ方がまし!というのは、

みなさんも聞いたことがあると思います。

そうすると、「はずかしい」という感情は、

表現した方がいい感情なのか、

隠した方がいい感情なのかというと、

全く無意識に人は隠してしまおうとするわけです。

これが恋愛になると大変です。

男性は女性の恥ずかしがっている姿を見て

魅力を感じますが、

女性は恥ずかしいから隠れたくなるわけです。

すると、

恥ずかしいと感じている女性がとる行動が、

男性に誤解を与えてしまうこともあるかもしれません。

逆に、

男性は恥ずかしいという感情があることすらいや!

という人もいるくらいですから、

男性が恥ずかしいと感じているときは、

それこそ無反応になったり、

攻撃的になったり、

愛想が悪くなったりするわけです。

それを女性が

「あ、恥ずかしがってるのね。かわいい~」

といえるのであればまだいいのですが、

「あれ、どうしたの?私なんか悪いことした?」

と勘違いしてしまうと、

男女関係に亀裂が生じる可能性がでてきてしまうわけです。

「うそ」というのは、

その人が見せたくない、

みられたくない、

知られたくない「なにか」を

かくす「箱」のようなものなんですよね。

ところが、当の本人が箱の中に

なにが入っているのか忘れてしまっている状態が、

ほとんどなんです。

なかには、

箱そのものがあることすら忘れてしまう人もいます。

この「嘘という名前の箱」になにが入っているのか?

それを見つけていくことが、

うそをつかなくていい、

そしてだまされなくていいヒントになっていくでしょう。

ただし、

箱の持ち主は、

箱の中にはいているものを

「いいものだ」

と思っていないことが多いんですよね。

実際いいものばかり入っているわけでも

ないのですが、

なかにはすっごくいいものも

入っていたりするわけですよ。

そして、

その箱の中にある「真実」という宝物、

とは限りませんが、

それを探していく手法が、

心理学だったりするわけです。

みなさんも、

ご自分の心の中の箱に、

いったいどのようなものが入っているのか、

一度みてみるのもいいかもしれませんよ。

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