2020.8.16 心理学講座「うそという名の箱~うそつきの心理学~①」
第一章 人がうそをつく理由
「うそつき!」
まあいつでもどこでもよく耳にする言葉ですね。
しかし、ただ単純に「うそつき!」といっても、
語尾や語意の強さや状況、前後関係まで見てみると、
たった一言なのにその意味はさまざまに変わってきます。
あるときはやさしかったり、
あるときは相手を責めるようにいったり、
あるときははき捨てるように
ドップラー効果を効かせながら走り去ったり。
さて、ここで質問ですが、皆さんは今まで生きてきて、うそをついたことが一度もない!という人はいますでしょうか?
もちろん私はうそをついたことはいくらでもあります。
それこそ、ありとあらゆるパターンのうそをついています。
言い換えましょう。
この世にうそを全く一度もついたことがない人って、いるのでしょうか?
私はそのような人に会ったことは残念ながらありません。
ではなぜ、うそをつかない人に会ったことがないのか、説明していきましょうね。
まず、人がうそをつく理由ですが、大きく分けて7つあります。
1 相手のためを思ってつくうそ
2 その場から逃れたいからつくうそ
3 うそをついていることに本人も気づいていないうそ
4 はじめはうそをついてないつもりが、結果としてうそになってしまううそ
5 楽しさからくるうそ
6 悪意のあるうそ
7 その他のうそ
もしかしたらもっとあるかもしれませんが、今回はこの程度でまとめてみました。
これをひとつづつ解説していきます。
まず(1)の相手のためを思ってつくうそですが、
まあよく皆さんが耳にするのは「あなたのためを思って」
ということでしょうね。
確かにそのような部分もあります。
たとえば、がんを告知されたことを家族にいえないままでいるとしたら、
これはやさしさから来るうそですよね。
でも、言われなかった家族は、うそがわかったとき腹が立つでしょう。
しかし、それ以上に悲しみの方を強く感じるから、
うそをついた相手を攻めてしまったり、
自分を責めてしまうわけですよね。
それは、がんを告知された家族の支えになれないから、
うそがばれるまで大切な人を一人で悩ませ、
苦しめてしまったと感じてしまう部分なんですよね。
本当は家族を苦しめたくなくてうそをつくのに、
結果として家族を苦しめてしまう、
このようなケースは、
日常でもドラマなどでも良くありますよね。
実はこれは、「心のすれ違い」からおきることなんですよね。
ほんの少し、お互いの想いがすれ違ってしまうことで、
お互いが誤解してしまうからなんです。
「相手のためを思って」することは、
必ずしも相手のためにならないことを覚えておいてくださいね。