2021.8.15 心理学講座 当たり前のことは口にしない
これはすべての人の特徴なのですが、「人は当たり前のことは口にしない」ということです。
例えば、女性のあなたが自己紹介をするときに「私は女性です」というでしょうか?
中性的な人であればそういうこともあるでしょうが、普通であればわざわざ言いませんよね。
見て分かること、当たり前のことは説明したりしない。
これは基本なわけです。
クライアントさんの話を聞いていて、よく出てくるのが「私は依存的だから」という言葉です。
これを先ほどの話に当てはめてみると、
当たり前のことは口にしない
↓
口にしていることは当たり前でないこと
↓
口にしている「依存が当たり前でない」
↓
普段当たり前なのは・・・
答えは「普段は自立的なのが当たり前」ということになるわけです。
一つ例を出しましょう。
ここに箱があります。
中には何も入っていません。
でも、箱の中身を開けないでくださいね。
中には何も入ってませんから。
本当に中身は空っぽですから。
見ても何もありませんから。
こんな言われ方をして、箱の中身が空っぽだとあなたは思いますか?
多くの人が「あ、箱の中に何か入っているな」と感じたことでしょう。
この例は大事なものを隠している時などにとる行動の一例だったりしますが、吉本新喜劇のギャグなんかでもこういうやり取りがありますよね。
これは「箱の中身が入っている」ことが当たり前と例えるわけで、「箱には何も入っていない」というのは、当たり前でない状態と置き換えることができるわけです。
カウンセリングで、クライアントさんが話していることに注目していると、問題の核心に関わることや、無意識に避けていることなどに関して、まるで「箱の中には何もない」みたいな表現で話をしてしまいます。
もちろん、自覚なく、です。
例えば、父親との確執があるクライアントさんがいて、そのことに自覚がない場合、無意識に父親の話題を避けようとします。
クライアントさんは無意識にしていることであっても、第三者の立場で話を聞いているカウンセラーは、話を聞いていると違和感を感じていきます。
中には、問題に触れられたくないから、別の問題を使って問題を隠そうとすることもあります。
これらが全て無意識で行われているわけです。
心というのは、全く無意識、無自覚に自分を守ろうとする傾向があります。
ですので、自覚なく問題を避けようとしていることはよくあるんです。
カウンセラーはそのことを意識して、クライアントさんの話をよく聴く必要があるんです。