2020.8.6 心理学講座 怒りとけんかのコミュニケーション③
第3章「怒りの種類」について
怒りというのは、おおまかに4つの種類に分類できます。
1つめは、普通に怒る。
一番ストレートな表現といえるでしょう。
子供などは感情がストレートですから、怒るときはストレートに怒ってきます。
わかりやすいわけですよ。
感情のすべてがわかりやすかったらコミュニケーションはすごく楽なのですが、なかなかそううまくいかないのがコミュニケーションということですね。
2つめは、引きこもってしまう。
人がされて一番嫌な事は、反応が返ってこない事なんですよね。
相手から反応が返ってこなかったら、皆さんはどんな気分になるでしょう?
「なんかまずいことしたんだろうか?」
という気持ちになるかもしれません
「相手に何かあったのだろうか」
と心配になるかもしれません。
「自分が悪いことをした」
「相手に迷惑をかけた」
と思うかもしれません。
しかし、相手が反応しなかった理由は当の本人しかわからないわけです。
単に別のことを考えていて集中してただけかもしれないし、聞いていなかったからかもしれません。
ただそこには「反応しなかった」という事実があるだけで、だれも「あなたのせいだ」とはいってないんですよね。
ただ逆の立場で怒りの感情を使うと、反応しないことで「あなたのせいだ」と感じさせることもできるわけです。
ですので、無反応、反応しないっていうやり方は、実はとても攻撃的なやり方なんですよね。
もちろん、引きこもりのすべての人が、このような状況にあるわけではありません。
引きこもるには、怒り以外の複雑な環境や状況が影響していますから、「引きこもり=怒っている」と結論づけてはいけませんが、一方では怒りを使って引きこもる人がいるのも、また事実なんですよね。
反応しない。
これもまた、相手からの重要なメッセージなんですよね。
3つめは、受動的な怒りです。
これは、本人は全く怒っている自覚がない状態なんです。
本当は、怒っているんですよ。
だけど、自分が怒っているって自覚がぜんぜんない場合っていうのがあるんですよね。
この場合、怒っている本人が「相手のためを思って」と何か行動をしたとします。
しかし、された側は、されればされるほど、だんだんいらついてくるんですよね。本来はいいことをされているにもかかわらず。
わかりやすく言うと、怒っている本人が自覚がない分だけ、周りが怒り出すんです。
たとえば、母親が息子のためにあれこれ世話を焼いていたりします。
しかし、世話を焼けば焼くほど、息子は「ほっといてくれよ!」と怒り出してしまったりすることがあります。
思春期の子供の場合、ありそうな話ですよね。
このような怒りは受動的な怒りといえるわけです。
この母親は、本人が気づいていないところで怒りを持っていて、怒りに気がついていない分だけ、息子が代わりに怒りを感じてくれている可能性があるわけです。
これは親子関係に限らず、恋人同士、夫婦間、友人関係や職場、クラス、電車の中、テレビ、インターネットなど、ありとあらゆる場所で起こりうる可能性があります。
なぜこのようなことが起こるのかというと、感情には「共鳴」という特徴があるあからです。
感動する映画を見て、映画を見た人全員が泣いていたとします。
これは、泣いた人全員が「感動」という感情を映画を使って共有したわけです。
このように感情は共鳴するわけですから、いくら抑圧して表に出ていなくても、心の奥深くでは共鳴して相手にしっかりと伝わってしまうわけです。
4つ目は陰口ですね。
表向きは仲がいいように振舞ったり、相手の言っていることをきちんと聞いているわけです。
しかし、ひとたび相手がいなくなると、とたんにその人の悪口を言い始めます。
井戸端会議や、うわさ好きなども同じかもしれません。
これはしゃべることで怒りを発散する方法で、その中でも「仮想敵」を作ることで仲間意識を作り、自分がさも正しいように振る舞おうとしたりするわけです。
世界の国同士の関係ではよくあるお話ですよね。
ところが、あちこちでやり過ぎてしまうと、みんな気がつくわけです。
この人は私のいないところで私の悪口を言っている、と。
そうなると悪口を言われないように腰巾着になるか、悪口をいっていた人を「仮想敵」としてみんなで攻撃を始めてしまう、といった感じになってしまうかもしれません。
このように、単に怒りといっても、表現の仕方によっていろいろあるわけです。
もしかしたら皆さんも、怒りの感情とは気付かずに、怒りを表現しているかもしれません。
ただ、ほとんどの場合気付かれないのが普通ですので、ご心配なく。