2020.7.2 心理学講座 リーダーシップと恐れ(リーダーシップへの道19)
全ての責任を自分が担ったら。
全て自分の選択で決まるとしたら。
全ての決定権や命令権が自分にあれば。
皆さんはどんな気持ちになるでしょう。
やった~!と喜ぶでしょうか。
それとも、恐いと思うでしょうか。
喜べるとしたら、あなたは組織のトップか独裁者になれます。
喜べない人は、普通の神経の持ち主です(笑)
正しいリーダーシップは、与えられている権威や権限などを、正しく公正に使うこと、つまり、みんなのために使うことです。
これを個人の私利私欲に使ったりすると、独裁的になるわけですね。
多くの人は、こころに弱い部分を持っています。
まあほとんどの人が「嫌われたくない」という気持ちを持っている、ということです。
この部分があると、上記のような権限を与えられると、恐くて逃げ出したくなります。
これが極端になると「どうせ俺は嫌われている」となり、嫌われて当然の態度になります。
以前心理学講座「権威について」でお話ししたと思いますが、リーダーシップのプロセスにおいて、プロセスが進めば進むほど、権威が増していきます。
それは、会社に長く務めるほど役職が上がっていくようなもので、自分が望む望まざるにかかわらず、まるでグリコのおまけのようにくっついてくるわけです。
ですが、その分だけ責任も重くなりますし、失敗も怖くなります。
下手をすれば、自分の選択ひとつで、会社が傾く、なんてこともあるかもしれません。
家族のお話にすると、自分の選択ひとつで、家族が幸せにも不幸にもなる。
この場合、選択には勇気がいりますよね。
権威を持つこと
それ自体が、リーダーシップのプロセスと連動していて、且つ恐れとも連動しているんです。
がむしゃらにリーダーシップの道を進んでいるときはまったく気にしないのですが、ふと自分が置かれている立場や状況を振り返った時に、その大きな「権威」をもつこと、そして、その権威を行使することに、ものすごい恐怖を感じるわけです。
これを「権威との葛藤」と言います。
9回裏ツーアウト満塁。
ヒットを打てば優勝。
そのシチュエーションで、代打があなただったとしたら。
代打に立ちたいと思いますか?
これくらいのプレッシャーを感じるのが、権威との葛藤なんですよね。
リーダーシップの抵抗が強くなる(特に男性において)要因は、この権威との葛藤が強く影響しているわけです。
余談ですが、リーダーを批判する人、文句ばかり言う人は、実は権威との葛藤が強い人です。
例えば、サッカー観戦中に、監督に対して「お前は監督としてなってない!」と怒っている人がいたとします。
じゃああなたが監督をしてみたら?
当然監督上の結果は残せるんでしょうねぇ?
言った本人は、自分が言った言葉が自分に還ってくることを想像します。
つまり、自分が監督になったら、誰かから「お前は監督としてなっていない!」と言われることが、簡単に想像できちゃうわけです。
で、無意識では還ってくることもわかっていますから、ますますリーダーシップをとること、権威を持つことを嫌がるわけですね。
人を呪わば穴二つ
言ったことは、結局全部自分に還ってくるんですよ。
言葉は気を付けて使いましょうね。