2020.6.9 心理学講座 リーダーシップの分類(リーダーシップへの道4)
リーダーシップは、ざっくりと分類しますと、以下の3つに分類されます。
プル型
プッシュ型
放牧型
その他にも、サーバントリーダーシップなど、いろんな名前がありますが、基本はこの3つのどれかに当てはまります。
プル型
皆さんがリーダーシップとして、普通にイメージするのが、このプル型です。
単純にいえば「俺についてこい!」ということです。
このタイプのリーダーシップは、自分が先頭に立ってみんなを引っ張っていく、典型的なリーダータイプのリーダーシップになります。
プッシュ型
このタイプのリーダーシップは、自分が前に立つのではなく、自分以外の全員を全面に立たせる事で、みんなの力を遺憾なく発揮させる形になります。
後方支援、と言った方がいいかもしれませんね。
放牧型
プッシュ型に似通っていますが、プッシュ型に比べて、何もしません。
放牧型のリーダーの仕事は「何かあったとき」や「必要とされたとき」のみに力を発揮し、その他は何もしません。
まるで普段は家でゴロゴロしているぐうたらなお父さんみたいな感じですね。
でも、ここ一番のときは家族のために活躍してくれる。
別名「三年寝たろう型」とでもいいましょうかね。
それぞれに特徴があり、向き不向きがあり、得手不得手があります。
これは、自分がどのタイプのリーダーシップをとる事ができるのか、また、自分がどのタイプのリーダーシップだと力を発揮しやすいか、など、自分の持つ特性とマッチすることが重要です。
マッチしないと、不満やフラストレーションがたまります。
例えば、放牧型で力を発揮する部下をプル型で指導しても、多分うまく機能しないでしょうね。
逆に、プル型のリーダーシップを夫に望んでいるのに、夫がプッシュ型だと、妻は夫に不満を持つわけです。
よくあるのが、彼にリードしてもらいたい、というのは、このプル型の彼氏を求めている、という事になりますね。
例として、登山のお話です。
集団で登山をするとき、一番実力のある人が先頭を歩き、その次に実力のある人が最後尾を歩きます。
これは、登山に不慣れな人を最後尾の人が支えているわけです。
先頭がリーダーシップを求められるのは当然かもしれませんが、実はしんがりも、とても重要な役割を担う、先頭を歩く人とは違うリーダーシップを持つ必要があるわけです。
ここで、先頭を歩く人はプル型のリーダーシップを、しんがりを歩く人はプッシュ型のリーダーシップが必要になるわけです。
自分の与えられた役割によって、リーダーシップが変わる例と言えるでしょうね。
実際の悪い事例を三つご紹介します。
上記のプル型のリーダーシップの例で、みんなから慕われ、リーダーとして活躍していた人ですが、逆にリーダーとしてしっかりしすぎてしまったがために、みんなが依存してしまって、自分なしでは組織がうまく機能しなくなってしまいました。
上記のプッシュ型の例ですが、皆に経験を積ませて、実力を着けていったわけですが、実力を着けた人たちが、リーダーを軽視するようになり、リーダーの言う事を聞かず、自分がリーダーに取って代わろうとしたり、独りよがりな行動を皆がするようになってしまい、まとまらなくなってしまいました。
上記の放牧型の例ですが、リーダーが何もできず、周りが「これは自分たちがしっかりしないとどうしようもなくなるぞ」となって、周りががんばります。
結果周りの人たちの実力は上がるわけです。
リーダーはある意味「反面教師」としてそこにいる事になってしまいます。
それぞれのリーダーシップに、良い面と悪い面があり、どのやり方が自分に合っているか、どの手法が周りの人たちの力を一番引き出せるか、その選択こそが「リーダーシップ」なんですよね。