2020.6.5 心理学講座 権威とリーダーシップ

前回の心理学講座で「正しい権威」についてお話ししました。

今回はその続きのお話をしようと思います。

そもそも権威というのは、辞書で調べると

1 他の者を服従させる威力。「行政の―が失墜する」「親の―を示す」

2 ある分野において優れたものとして信頼されていること。その分野で、知識や技術が抜きんでて優れていると一般に認められていること。また、その人。オーソリティー。「―ある賞を受賞する」「心臓外科の―」

(goo辞書より)

という意味があり、前回のお話の良い権威と悪い権威の両方がちゃんと書かれていますよね。

最近話題になっている学歴詐称なども、自分に箔付け(権威付け)をすることで、影響力を強めようという意図が無きにしも非ず、といったところでしょう。

この権威というのをプロセス全体で見てみると、実はあることと深くかかわりがあることがわかります。

それは「リーダーシップ」です。

よく「リーダーシップを発揮する」とか言いますが、実は、リーダーシップと権威は密接な関係があり、基本リーダーシップを考えるときに、同時に権威についても考えていきます。

リーダーシップについて説明すると、それだけで10回くらいの連載になってしまいますので、簡単に言ってしまえば、自分を信じて行動することで、周りに良い影響を与え、みんながその行動に習ったり、師事したりする、みたいな感じだと思ってください。

文章の中に出てきますよね。

「周りに良い影響を与え」

ここが権威の部分にあたるわけです。

実例で言いますと、とある一人の男が、なんとしてでも一部企業に独占されている商品を買い付けて商売がしたいと思い、会社を作り社長になりました。

そして、商売をするためには、商品の入手ルートが必要になる。

様々な法律や慣習などの問題を、一つ一つ丁寧にクリアしていき、結果商品を入手することに成功します。

この時、彼のもとで働いている人たちは、彼の夢に共感し、彼のために自分の持てる力のすべてをかけてみよう、と感じるわけです。

その会社は今でいうブラック企業そのものです。

一日12時間以上働いたって、ほとんどがサービス残業です。

それでも、働いている人たちは文句ひとつ言いません。

なぜなら、みんなが社長のリーダーシップに引っ張られて「この人の為なら」と、ついていったわけですよね。

社長の夢が社員みんなの夢になる。

よくリーダー論などで語られる、理想的なリーダーの姿といえるでしょう。

もっと身近な例としては、ある子供が公園のゴミ拾いをしていました。

時間があれば公園に行ってゴミを拾います。

でも、子供がゴミを拾う端から、みんながごみを捨てていきます。

それでもこどもは ゴミを拾い続けました。

あるとき、子供がゴミを拾っている様子を見て、別の子供が聞いてみました。

なぜゴミを拾っているの?

その質問に子供は答えます。

この公園が好きだから。

そのあと、公園でごみを拾う子供が二人になりました。

すると、その数が徐々に増えていき、いつの間にかたくさんの人がゴミを拾うようになっていきました。

その想いや夢はとても些細で、小さなものであっても、その人のために力を貸そうと感じる人が現れたとき、そこにはリーダーシップがあるわけです。

人は人についていきます。

私がよく「よき人との出会いが大切」というのは、良い影響力を持った人とかかわることで、自分自身が良い影響力を与えられる人になれるから、なんですよね。

皆さんの中にも、リーダーシップの力は備わっています。

ただ、多くの人が、権威をよいものと認識していないのと同じで、リーダーシップも良いものとはあまり感じていません。

例えば、リーダーシップを悪く使うと、支配的であったり抑圧的になったり、人に悪影響を及ぼしたりすることが可能ですからね。

権威もリーダーシップも、その根本に良い悪いはないわけです。

それを使う人が、良い使い方をするか、悪い使い方をするか。

全ては、その人の心が決めること、なんですよね。

カウンセリングで「自分と向き合う」というというのは、自分自身を理解すると同時に、自分の持つ影響力をどのように使うのか、選択するためでもあるわけです。

よき選択ができる人になることができれば、その人の人生は豊かで楽しい人生になることでしょう。

おあとがよろしいようで<(_ _)>

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