2020.6.4 心理学講座 正しい権威について

以前、2ヶ月にわたり、一人のクライアントさんに付きっきり状態になったことがありました。

まあそれだけ大変な状態だったわけですよ。

本来であれば、そこまで深く関わるのはカウンセラーとして御法度です。

普段はやりません。

でも、クライアントさんにとってそれだけのサポートが必要なときもあります。

フリーのカウンセラーだからこそできる、と言ったところでしょうね。

まあ所属していたときの方がもっと無茶をしていましたけどね(笑)

で、これだけのサポートが必要な理由は、裁判になる可能性があったからです。

実務的な部分は弁護士さんがしているわけで、私はクライアントさんの後方支援をしているわけですが、今回のこの件で、ちょっとおもしろい事に気がつきました。

何がおもしろいかと言うと、裁判や争い事などで、現実的な権威が強い方が、支離滅裂なことを言うんですよね。

例えば、経営者と従業員のもめ事であれば、経営者の方が、夫婦間のもめ事であれば、より力関係の強い方が、客観的に観て「それはおかしいだろう」という事を平気で言ったりします。

念のために言っておきますが、もちろんそうでない人もいますよ。

で、裁判沙汰に限らず、パートナーや上下関係がある間の喧嘩において、権威がある方が辻褄の合わないことを言うことがよくあります。

これはなぜなのでしょう?

権威がある、ということは、相手よりも社会的にも精神的にも立場が上なわけですから、そんな支離滅裂な事を言ったり、つじつまが合わない事を言ったりしなくてもいいように感じます。

しかし、権威があって、かつ支離滅裂なことを言う人は、こころの中にいろいろあるんだろうな、というのが想像がつくわけです。

例えば、恐がりさんだったりとか、「私は悪くない!」と主張していたりとかね。

これは、権威があり、相手より立場が上にも関わらず、精神的には「格下」になっている事を意味しています。

そもそも、人はなぜ権威を手に入れたいと思うのでしょう?

権威というのは、私から観れば「他人に対する影響力の強さ」みたいなものですから、正しい振る舞い、つまり、正しい権威の使い方をしていれば、支離滅裂な事は言わなくてもいいわけですよ。

でも、正しくない権威の使い方をしていると、権威そのものが「コンプレックスを補うため」とか「欲求を満たすため」になってしまい、権威本来の「人に正しい影響力を与える」ことができなくなり、権威=攻撃性になってしまうのかな、と感じます。

私が所属していた団体では、このような事を「権威との葛藤」と呼んでいます。

もともとは権威を持っている人自体が、権威に対して強いコンプレックスがあり、間違った解釈をして使っているわけです。

ですので、このような人たちは正しい権威を非常に嫌います。

なぜなら、正しい権威は論理的に正しく、支離滅裂なところがないですから、多くの人が納得できますからね。

そもそも権威というのは、人によい影響力を与え、正しい方向性へ導いていく力ですから、誰もが持っているものです。

例えば、夫婦喧嘩をしているときに、子供の笑顔で喧嘩をやめる。

これは子供が「怒りよりも笑顔が大切」ということを両親に教えた事になり、子供が持つ影響力、つまり権威が両親に働いたと言えます。

また、体調が悪くて「もしかしたらがんじゃないか」と不安になって、病院で検査を受けたとします。

検査の結果、医者が「大丈夫です、あなたはがんではありませんよ。」と言われたら、すごくほっとしますよね。

これも権威を使っているわけですよ。

正しい権威というのは、周りに対して安心感を与えます。

間違った権威は、周りに恐怖や抑圧(怒りや不満)を与えてしまうわけです。

ちなみに、間違った権威の使い方は

「私は社長よ、その私の言う事が間違っているとでも言うの?」

とがなり立てたりすることですね。

権威は、人を威圧するためにあるのではなく、人を安心させるためにある。

もちろん威圧するときも必要なときはありますが、必要のないときに威圧しても、お互いにとってプラスにはならないでしょうね。

例えば、子供がしてはいけない事をしたとき、権威を持って諭す事ができないと、子供は正しく権威を学ぶ事ができませんからね。

こんなときは、きちんと権威を使わないといけないわけです。

まあ、一番気をつけた方がいいのは、自分が悪いにも関わらず、自分の非を認めない人がいたら、気をつけてください。

このような人は、明らかに間違った権威を使う可能性が高いですからね。

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