2020.10.11 心理学講座 記憶する

普段人が意識的にも無意識的にも、当たり前にしていることですよね。

意識的には試験の勉強範囲を覚えたり、今日であったお得意さんの顔と名前を覚えたり。

無意識的には、昨日の夕食に食べたものだとか、先週の日曜日にどこに行ったとか。

記憶には意識して覚えるものと、無意識に覚えるものとあるわけです。

で、なんでこのような話になったかというと、ネットで楊貴妃と玄宗皇帝のお話を読んでいて、ちょっとひっかけたんです。

楊貴妃とその一族は、国を乱した原因とされ、処刑されてしまいます。

玄宗皇帝は、四川で処刑された楊貴妃の遺体を回収したのですが、その時に楊貴妃が玄宗皇帝からプレゼントされた匂い袋も、一緒に回収されたんです。

そのかぐわしいにおいは、楊貴妃と過ごした時間を思い起こさせ、玄宗皇帝の心は大きく揺さぶられたことでしょう。

写真などがなかった時代。

玄宗皇帝にとって、匂い袋は思い出を記録する貴重なメディアだったといえるでしょう。

「地球歴史館 週刊スモールトーク (第114話)大航海時代Ⅳ~乳香と没薬/沈香木と麝香~」

このお話のように、記憶と感覚って、すごく密接な関係にあるわけですよね。

以前心理学の勉強仲間とカラオケに行ったときに、ちょうどクリスマスシーズンだったので、まあお決まりのクリスマス定番ソングを皆さん歌うわけですよ。

そしたら、一緒に来ていた女の子が、酔っぱらっていたのもありますが

「この曲、昔の彼氏のこと思い出すからいや~!」

と騒ぐわけですよ。

それこそ片っ端から(笑)

これは元カレとの思い出と曲がセットになって記憶されているんですねぇ。

このように、その時に体験した「記録」と、その時に感じた「感覚」を、セットで「記憶」しているわけです。

皆さんでもよくあるのが、梅干しを見ただけで酸っぱい気持ちになって唾が出てくるとか、カレーの匂いが漂ってきただけでおなかが空いた感じになったりとか。

また、誰かが転んでひざをすりむいて、血が出ているのを見て「あ~痛そう!」と顔をしかめたり、なんてこともありますよね。

これ、全部自分の過去の記憶が呼び起こされているんですよね。

つまり、五感の感覚によって、記憶したことを思い出しているわけですよ。

昔、とある話を耳にしました。

記憶というのは一冊の本のようなもので、思い出すのはしおりが付いていて、そのしおりを使って思い出すことができる。

例えば記憶喪失になっても、記憶そのものがなくなるのではなく、このしおりがなくなってしまって、探すことができなくなる。

これが正しいかどうかはともかくとして、なかなか面白い話だと私は感じました。

もしかしたら、五感は記憶という名の本の、どこに何が書いてあるのかを見つける「しおり」の役割をしているのかもしれませんね。

もちろんしおりの役割をするのは、五感だけではなく、感情や思考もその役割を持っていると思います。

しかし、五感は思考や感情と違い、記憶をダイレクトに引き出すことができるアイテムなのかもしれませんね。

感覚がもっている自分への影響力。

これはもしかしたら、自分が思っている以上に大きいのかもしれません。

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