自立と依存の関係性④
自立と依存の関係については、今までも心理学講座でお話してきました。
ネットで調べますと、
自立とは、自分以外のものの助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやっていくこと
依存とは、他のものに寄りかかり、それによって成り立つこと
と書かれているわけです。
例えば、ネットのとある記事で、「本当の自立とは自己実現力があること」と書いてあるのですが、確かにこれも一つの自立の形だと私は感じます。
またアルコール依存症のように、何かに依存してしまうのも、善し悪しにかかわらず、依存の形でもあるわけです。
ですが、例えば自己実現をしようと思った時、何かイベントを企画して、このイベントを成功させようと行動する。
これは自己実現力があるといえるわけです。
ですが、実際には、たくさんの人の手を借りて、協力してもらわないと、イベントの成功はありえないわけです。
また、アルコール依存症というのは、言い換えれば「アルコールにしか依存できない」状態なわけで、アルコール以外の者に対しては全く頼らない状態でもあるわけです。
つまり、自立をするためには依存が必要で、依存するには自立しなければいけないという、頭がこんがらがるような事態が、心の中では起きているわけです。
ポイントは、自立と依存は絶えず両方共が心の中にあり、バランスを取っています。
自立の部分が50個あれば、依存の部分が50個ある。
これだと、バランスがとりやすいですよね。
ところが、自立の部分が99個あって、依存が1個しかない。
これでバランスを取ろうとすると、どうなるでしょう?
99個の自立に対して、1個の依存でバランスを取ろうとするわけですから、1個の依存が99個の自立に匹敵する大きさになってしまうかもしれません。
旗目に見て、依存的に見えたり、自立的に見えることであっても、心の中というのは逆になっているケースのほうが多かったりするんですよね。
例えば、彼に嫌われたくないから彼に尽くす。
これははたから見れば、彼に依存しているわけですが、心理的には、してあげるほうが自立で、してもらうほうが依存と考えたほうがわかりやすいですよね。
これって、子供にいろいろとしてあげる母親と、同じような感じですからね。
もちろん、依存であっても、してあげるという行動に出ることもあるわけですが、その場合、必ず見返りがあるわけです。
見返りがあるから、相手に何かをする。
心理学講座「えすえむ心理学」で書きましたが、えすの人は、えむの人にしてあげる(もしくはしてもらう)ことで、相手から「感情」という見返りをもらっているわけです。
自立と依存は、切り離せない表裏一体のもので、誰かに対して自立的であっても、誰かに対しては依存的である、なんてことはよくあることですね。
どちらがいいか悪いかとか、どちらが正しいか、という物差しで見ている限り、この自立と依存に振り回されてしまいます。
自立であろうが、依存であろうが、私がいつも言っている3つの重要な事柄
感謝
赦し
手放し
この3つが理解できなければ、どんなに自立しても、どんなに依存しても、望んでいるものが手に入りにくいといえるでしょう。
この辺りは、心理学講座「感謝と赦しと手放しと」をご覧くださいませ。