問題の原因は間違えやすい

何か問題が起きたとき、そこには必ず「原因」があります。

例えば彼女に振られた。

例えば子供が引きこもってしまった。

例えば会社でミスをした。

同じ問題を繰り返さないためには、原因を見つけて対処する、というのは基本ですよね。

しかし、ただ単に原因を見つけて、対処しただけで問題そのものはなくなるものでしょうか?

例えば、交通事故で車をぶつけてしまった。

原因はよそ見をしていたから。

じゃあよそ見をしないようにすればもう事故は起こさない。

これで本当に事故を起こさなくなるのでしょうか?

高塚先生は、原因の見立て(問題の核)を正しく行えないから、対策を講じても結果が出ない、とおっしゃっていました。

私の自己解釈ですので、高塚先生の意図するところとは違う部分があるかもしれませんが、ご容赦いただきたいと思います。

例として、不登校の子供の多くが引きこもりのように思われがちですが、実際には不登校と引きこもりは必ずしもイコールではないわけで、ただ単に授業に出たくない人もれば、コンビニや近所は出歩く人もいたり、家から出ることすらできない人もいるわけです。

職場にしても同様で、それが、病気が原因で出勤できないのか、社会的な原因(しなければいけないことができない)なのか、心理的な原因(職場がいや、上司のいじめ、まじめに働いて燃え尽きた、など)なのかによって、アプローチも対応もサポートも、全然違うわけですよね。

皆さんにわかりやすく言えば恋愛です。

大失恋をして、食事がのどを通らなくなるくらい落ち込んで、ネガティブ思考になったり、中には自殺を考える人だっています。

こんな人がそばにいたら、「そんなこと、忘れなよ」とか「新しい恋をすればいいさ」と、声をかけることはできます。

そんなことは当の本人もわかっているんですよ。

大失恋で落ち込んでいる人は、何よりもその喪失感と絶望に打ちひしがれているわけですよね。

それは、相手との幸せだった時間が、自分の未来にはもう存在しない。

自分が描いていた、望んできた未来への道が完全に絶たれてしまった。

その絶望の痛みを感じている、もしくは痛みを緩和しようとしているのかもしれません。

確かに、付き合っていた人との未来は立たれてしまったかもしれません。

でも、別のもっと素敵な人(かもしれない)との、別の幸せな未来がある可能性を、当の本人が気づかない限り、選ぶことはできないんですよね。

そうすると、大失恋から立ち直るためには、失恋によって感じている喪失感や絶望などの感覚を、どう向き合い、扱っていくかが、原因の見立てによる対処法といえるでしょう。

カウンセリングの現場などで、クライアントさんの話を聞いて「これはきっとお母さんとの問題があるんだ」と、短絡的に見立てをするカウンセラーさんがいます。

それ自体はそれでいいんですよ。

それでいいというクライアントさんもいますからね。

しかしそこで「本当にそれだけなのだろうか?」という、いい意味での疑問と、「お母さんの問題だけなのかどうか」という検証は、やはり必要なのではないか、と私は感じるわけです。

これは以前から私自身がいっていたことですが、良い心療内科医、精神科医は、病名をすぐに言わない、ということです。

以前とある本で読んだのですが、とある方が心療内科にかかり、最初の病名がわかるまで約1カ月。

その後の治療過程で他の疾患が見つかり、複数の精神疾患があったことがわかった。

という方がいました。

それまでの医者は15分で病名を告知されていたそうです。

結果、セカンドオピニオンできちんとした治療を受けることができたわけですが、きちんと原因の見立てをしっかりできるお医者さんを選ぶのは、大切なんだと感じますね。

これはカウンセラーも同じで、もちろん相性もありますが、それが病気であれ引きこもりや不登校であれ、失恋や家族問題であれ、「クライアントさんの心に寄り添う」姿勢が必要なんだと感じるわけです。

もちろん「寄り添わなければいけない」わけではないですよ。

そんなことをし続けたら、カウンセラーがつぶれてしまいますからね。

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