ネガティブ・リーダーシップ
ネガティブ・リーダーシップ
あまり聞きなれない言葉だと思います。
説明しますと、グループの中で、常に問題を引き起こす人が一人だけいたとします。
この人がいるおかげで、みんなが迷惑をするわけです。
みんな、この人にいなくなってほしい、この人さえいなくなれば、グループはすごくよくなるのに。
おそらく、みんながそう考えることでしょう。
では、本当に問題を引き起こす人をグループから出してしまえば、グループはよくなるでしょうか?
実際に、よくなることもあります。
というか、かなり良くなります。
しかし、問題そのものは残ったりするんですよね。
例えば、とても明るい星を肉眼で見ることはできますが、明るい星のそばにある暗い星を見ることはできなくなります。
この明るい星がなくなれば、暗い星は見えるようになるわけですね。
電燈のそばでは星は見えませんが、電燈のないところに言えば、星はきれいに見えますからね。
つまり、大きな問題があるおかげで、ほかの小さな問題が、すべて隠れてしまうわけです。
こうして、自分自身が大きな問題を抱えることで、ほかの小さな問題を隠してしまう。
私はこれを「ネガティブ・リーダーシップ」と呼んでいます。
日本のことわざでは「憎まれっ子世にはばかる」という言葉がありますよね。
問題を起こす人に対して、嫌悪感や憎悪を持てば持つほど、ネガティブ・リーダーシップは強化されますからね。
ネガティブ・リーダーシップがグループに存在した場合、対処法は大きく二つに分かれます。
一つは、個人の問題を克服し、グループから抜けることです。
ネガティブ・リーダーシップが見せてくれているものは、自分自身の心の鏡の一部でもあります。
自分と向き合うことで、ネガティブ・リーダーシップを必要としなくなった時、自分の次の進むべき方向性が見えてきたり、グループを手放す選択もできるようになるわけです。
もう一つは、グループ全員が、個人の問題と向き合い、ネガティブ・リーダーシップを必要としなくなることです。
ネガティブ・リーダーシップがいるということは、全員にとって必要だから、なんですよね。
であれば、個人にしろグループにしろ、ネガティブ・リーダーシップを必要としなくなれば、おのずとネガティブ・リーダーシップは消失します。
問題を起こす人が居続ける、ということ自体が、無意識でグループ全員が、ネガティブ・リーダーシップを必要としているということになるわけです。
さらに、ネガティブ・リーダーシップを取っている当の本人は、そのことに全く自覚がありませんし、いくら諭しても、全く理解ができません。
また、ネガティブ・リーダーシップを取っている人ほど、業績が良かったり仕事ができたりもします。
会社という組織で見た場合でも、非常に扱いが困る存在、ということになりますね。
ほかにも、ネガティブ・リーダーシップを使って、グループを結束させる方法もあったりします。
ただし、この場合のみ、問題を起こす本人が、問題を自覚している必要があります。
使い方次第で毒にも薬にもなるネガティブ・リーダーシップ。
できれば出会いたくないし、やりたくないリーダーシップの形ではありますが、こんなリーダーシップもあることは、覚えておいてくださいね。