とりあえずやってみよう
1月になり、気持ちも新たに、なんて考えている人もいるのではないでしょうか?
これから2月、3月と進んでいけば、年度末から新しい年度へとまた変化がやってきます。
中には引越しをしたり、入学や就職したり、子供が独立したり、会社を辞めたり
と、環境面での変化もたくさん起こる時期でもあります。
さて、ここで皆さんに質問です。
皆さんにとっての変化って、どのようなことを変化というのでしょう?
人によっては、今の自分と180度代わることを変化という人もいるでしょうし、生まれ変わることそのものを変化と呼ぶ人もいるでしょう。
一方で、髪形を変えたことを変化と考えることもあるでしょうし、車を買い替えたり、新しいパソコンを買ったり、財布を新調したりすることも変化という人もいるかもしれませんね。よく笑うようになったとか、最近落ち着いてきたとか、表現としての変化もあるでしょう。
しかし、変化というのは、それだけなのでしょうか?
確かに、目に見えて変わっていたり、実感できるものであったりするものは、変化としてはわかりやすいですよね。
そこで、「目に見えない変化」というのも、実際にはたくさんあるのではないでしょうか?
たとえば、髪の毛は毎日少しずつ伸びていますよね。
ある日突然、10センチ髪が伸びた、という話は余り聞いたことがありませんよね。
成長期の子供であれば、一晩寝たら身長が5センチ伸びた、という話は聞いたことありますけど、40前後になったらそんなことはありませんよね。
でも、毎日少しずつ髪の毛が伸びていることには、私たちは中々気づかないわけです。
2〜3ヶ月もすれば「ずいぶん髪の毛のびたなぁ」と気がつくかもしれませんが、それは毎日少しずつの変化が蓄積された結果、目に見えてわかるくらいにまでになった、ということなんですよね。
よくカウンセリングでは「彼(彼女)はちっとも動こうとしないし、変わってくれないんです」という話をよく聞いたりします。
この場合、相手は全く変化していないようにクライアントさんからすれば見えるわけですが、それこそ目に見えない、もしくは気づきにくい範囲で変化が起こっている可能性がないとは言い切れないわけです。
また、このような話を良く聞いたりもします。
「自分はこれだけがんばってきたのに、私は何も変わっていない」
例であげるならば、「私はパートナーを手に入れるためにこの1年すごくがんばったんですよ。でも、パートナーが手に入っていないということは、私は何も変わっていないんです」
これはおそらく、自分の中で「パートナーを手に入れること」が変化なのであって、それ以外はどんな変化が起きても、変化として捉えない、もしくは否定をしている可能性があります。
実際のところは、パートナーは手に入っていないけれども、友達は増えたとか、「最近明るくなったね」といわれるようになったとか、がんばった分だけ変化はあるはずなんですよね。
でも心のどこかで「これが変化だ!」と決め付けてしまっていたとしたら、それ以外の変化を変化と認めなくなってしまう恐れがあるわけです。
もっとわかりやすい例で言うと、「1億貯金したいのに、通帳には2000万円しかないから、私はぜんぜん貯金ができていない」といっているような感じですね。
人間誰しも生きている限り絶えず変化していると私は感じています。
逆に「変わらずにいる」ことの方が非常に難しいのではないかと感じます。
それこそ幕末の写真機のように「5時間動かずにいてくださいね」といわれてじっとしているのは、かなり苦痛ですよね。
変化すること、変化していることを受け入れた方が、「変化していない!」と変化にこだわるより心の面では明らかに楽なわけです。
そこで、楽に変化を受け入れられる一番簡単な方法、それこそおまじないのような言葉があります。
その方法が、表題の「とりあえず変わってみよう」という言葉なんですね。
この「とりあえず?してみよう」というのは、非常に便利な言葉でもあります。
余りリスクも感じないし、力みもないわけです。
重い責任があるようにも感じないし、失敗したりうまくいかなかったとしても、たいしたことないと感じるくらい、変化そのものを軽く扱うこともできるわけです。
「とりあえず、やってみよう」
これくらいの気持ちでやった方が、意外と簡単にできちゃうかもしれませんよ。
だまされたと思って「とりあえず」やってみてください。
桜の花が咲くのも変化なら、桜の花が散るのも変化です。
このような変化を楽しめる繊細さを私たちは持っていますから、その変化を感じ取れる感覚を、大切にしてくださいね。
※このお話は、2008年04月16日に掲載されたコラムを加筆、修正したものを再掲載しております。