パートナーシップコミュニケーション~その5~

お互いの違いを受け入れてみる1
 
さて、今回は「パートナーシップコミュニケーション」の第5回「お互いの違いを受け入れてみる1」のお話になります。
 
カウンセリングなどで、よくこのような話を耳にします。
 
「彼(彼女)が何を考えているのか、なぜそんなことをするのかわからない。」
 
このようなお悩みは誰にでもあるものだと思いますが、こういったお悩みがあるときは、ひとつ大きなポイントがあります。
 
それは、相手のことがはじめから理解できなかったのか、それともはじめはわかっているつもりでいても、途中からわからなくなってしまったのか、という点です。
 
人は無意識に「同じ」ものがあるかどうかを探そうとします。
 
出身が同じ、趣味が同じ、好みが同じ、考え方が同じ等、自分と「同じ」がどれだけあるかを気がつかないうちに探しています。
 
この「同じ」を求める理由は、「同じ」と感じられた分だけ、安心感が得られるからです。
 
たとえば、今まで行ったことのない外国にひとりで旅に出たとします。
 
そこには日本語はまったくなく、日本語をしゃべる人もいません。
 
英語の表記すらないかもしれません。
 
そんな中にぽつんと独り取り残されたら、よほど冒険心の旺盛な人でない限り、誰だって不安になりますよね。
 
そんな場所でふと日本語を耳にしたら、どんな気持ちになるでしょう。
 
私ならすごく安心します。
 
皆さんもおそらくほっとするのではないでしょうか?
 
まあこれはわかりやすい例ですが、このようなことが日常生活の中でもあって、どこかに何か不安を感じていて、その不安を取り除くために「同じ」を探そうとしているわけです。
 
このこと事体にはなんら問題はないのですが、これからが問題なんですよ。
 
もし相手のことを「自分と同じ」部分を見つけて安心感を得たとします。
 
すると、相手の「違う」所を見ようとはしなくなり、「すべてが自分と同じ」と勘違いをしてしまうわけです。
 
つまり、ひとつ自分と同じものがあると、すべてが自分と同じであるという「思い込み」ができてしまうわけですよ。
 
そうすると、「自分がわかっていることは相手もわかっていて当たり前」とか「自分ができることは相手もできて当たり前」という考え方が生まれてくるわけです。
 
さらに、安心感を与えてくれる良い意味での「同じ」があれば、当然悪い意味での「同じ」もあるはずなんですよね。
 
自分が不安を持っていたら、相手だって不安を持っている、とは思えないわけですよ。
 
しかも、女性的な人はこの「同じ」から得られる安心感を、スキンシップやコミュニケーションによって求めようとする傾向がありますが、男性的な人はスキンシップやコミュニケーションよりも、安心感が得られる方法を求めるわけです。
 
この違いは何かというと、「不安」の種類によって違いがあります。
 
一般的な考え方ですが、女性的な人が持つ不安は「孤独」や「孤立」に関して強く不安を持ちます。
 
これは男性的な人にもありますが、男性的な人にはもっと強く不安を感じるものがあるわけです。
 
では、男性的な人にとって一番不安を感じるものとは何でしょう?
 
それは「責任」と「攻撃」なんですよね。
 
男性的な人は女性的な人よりも、責任を強く重く感じる傾向にあります。
 
独身女性が男性に「年収600万円以上」という条件を出すのも、男性からみれば「年収600万円以上稼がなければいけない」という責任に感じてしまうわけです。
 
それ以外にも、男(女)として、夫(妻)として、社会人として、上司、部下として、父(母)として等、それぞれさまざまな責任を負えは追うほど、男性的な人は「できていない自分は価値がない」とか「できていない自分は罰せられる、攻撃される」というのが出てくるわけです。
 
なかには「責任を果たしているのにこの扱いは理不尽だ」と思うこともあるでしょう。
 
この段階で、男性的な人と女性的な人の考え方には、かなり違いがあることがわかるわけです。
 
さらに、最近ではこの責任を自分ひとりで抱え込んで、結果抱えきれなくなり、逃げ出したり引きこもったり、回りに攻撃的になったりすることも見受けられます。
 
この違いを解消する方法には、二つ案があります。
 
ひとつは、違いを認め合うコミュニケーションをとることです。
 
もうひとつは、思い込みをやめることです。
 
この二つについては、次回以降お話したいと思います。
 
お楽しみに。
 
※この心理学講座は、 メルマガ「恋と仕事の心理学」 2012/9/25号に掲載されたものを、加筆修正して再掲載しております。
 

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